ヨーロッパ州/モルドヴァ国歌「我らの言語」 のバックアップ(No.1)


Limba noastră

我らの言葉

男性グループによる歌唱。1番、2番、1番と繰り返す。
 
 
合唱団によるもの。1,2,4,12という珍しいパターン
 
 

歌詞全文

1
Limba noastră-i o comoară
În adâncuri înfundată
Un şirag de piatră rară
Pe moşie revărsată.
押韻:-/ă/
我らの言葉は宝物
深淵に封じられた宝物
祖国に広く散らばった
宝石で紡がれた鎖
2
Limba noastră-i foc ce arde
Într-un neam, ce fără veste
S-a trezit din somn de moarte
Ca viteazul din poveste.
押韻:-/e/
我らの言葉は燃え盛る炎
物語の中から出てきた英雄のように
死のような眠りから突如目覚めた民族の
その中で燃え盛る炎
5
Limba noastră-i frunză verde,
Zbuciumul din codrii veşnici,
Nistrul lin, ce-n valuri pierde
Ai luceferilor sfeşnici.
押韻:-/erde/, -/eşnici/
我らの言葉は緑の葉
常緑の森から届くざわめき
朝の星の光を波間に飲み込む
穏やかなドニエストル川
8
Limba noastră-i limbă sfântă,
Limba vechilor cazanii,
Care o plâng şi care o cântă
Pe la vatra lor ţăranii.
押韻:-/ântă/, -/anii/
我らの言葉は聖なる言葉
古き訓戒を伝える言葉
農夫たちが暖炉を囲み
嘆き、歌って伝える言葉
12
Răsări-va o comoară
În adâncuri înfundată
Un şirag de piatră rară
Pe moşie revărsată.
押韻:-/ă/
宝物は湧き上がる
深淵に封じられた宝物は
祖国に広く散らばった
宝石で紡がれた鎖は

歌詞逐語訳

1

Limbanoastră-iocomoară
リンバノアストルイコモアル
言語我らの+~である不定冠詞
我らの言葉は宝物
 
Înadâncuriînfundată
インアドィンクリインフンダーテ
~の中深淵詰まった
深淵に封じられた
 
Unşiragdepiatrărară
ウンシラグピァトルラール
不定冠詞~の希少な
宝石でできた鎖
 
Pemoşierevărsată.
モシエレヴルサーテ
~に祖国散らばった
祖国に広く散らばった
 

2

Limbanoastră-ifoccearde
リンバノアストルイフォクチェアルデ
言葉我らの+~である関係代名詞燃える
我らの言葉は民族の中に燃え盛る炎
 
Într-unneam,cefărăveste
イントルンネアムチェフルヴェステ
~の中+不定冠詞人々関係代名詞~無く知らせ
彼らは突然に
 
S-atrezitdinsomndemoarte
トレーズィトディンソムンモアルテ
自身を+完了助動詞起こした~から眠り~の
死のような眠りから目覚めた
 
Caviteazuldinpoveste.
ヴィテアズルディンポヴェステ
~のように英雄~から物語
物語から出てきた英雄のように
 

5

Limbanoastră-ifrunzăverde,
リンバノアストルイフルンズヴェルデ
言葉我らの+~である緑の
我らの言葉は緑の葉
 
Zbuciumuldincodriiveşnici,
ズブチュムルディンコドリヴェシュニチ
ざわめき~から永遠の
不滅の森のざわめき
 
Nistrullin,ce-nvaluripierde
ニストルルリンチェンヴァルリピェルデ
ドニエストル川穏やかな関係代名詞+~の中失う
波の中に
 
Ailuceferilorsfeşnici.
アイルチェフェリロルスフェシュニチ
定冠詞朝の星々の燭台
朝の星々の光を消す穏やかなドニエストル
 

8

Limbanoastra-ilimbăsfântă,
リンバノアストルイリンバスフンテ
言葉我らの+~である言葉聖なる
我らの言葉は聖なる言葉
 
Limbavechilorcazanii,
リンバヴェキロルカザーニ
言葉古い訓戒の
古き訓戒を伝える言葉
 
Careoplângşicareocântă
カーレプルィングカーレクィンテ
関係代名詞~を嘆くそして関係代名詞~を歌う
その言葉で嘆き、歌う
 
Pelavatralorţăranii.
ヴァトラロルツラーニ
~の所で暖炉彼らの農夫たち
農夫たちが暖炉を囲んで
 

12

Răsări-vaocomoară
ルスリヴァコモアル
上がる+未来助動詞不定冠詞
宝物は湧き上がる
 
Înadâncuriînfundată,
インアドィンクリインフンダーテ
~の中深淵詰まった
深淵に封じられた宝物は
 
Unşiragdepiatrărară
ウンシラグピァトルラール
不定冠詞~の希少な
宝石でてきた鎖
 
Pemoşierevărsată.
モシエレヴルサーテ
~に祖国散らばった
祖国に広く散らばった
 

特記事項

  • 詩としては全五節だが、曲は二種類の旋律が交互に使われA-B-A-B-Aという進行になっている。
  • 1991年にソ連から独立してから暫くはルーマニアと同じ「目覚めよ、ルーマニア人!」が国歌であったが1994年にこの国歌に変更された。モルドヴァの中心民族はルーマニア系であり、歴史、民族、言語とも通底している。
  • モルドヴァの公用語の名前は微妙な状態にあり、憲法では「モルドヴァ語」とされている一方で憲法裁判所はこれを否定して「ルーマニア語」であると判断している。これはあくまで言語の名称の問題であり、公に使われている言語の実態は変わらない。以下はルーマニアのページに記されているものと同様。
  • 語末が子音+iの時は、アクセントが-iに無い限り子音が口蓋化(スラブ語の軟音化、日本語の拗音化に近い)され-i自体は発音されない。
  • ăは英語の無強勢母音に現れる/ə/の音。
  • î, âはどちらも同じ音/ɨ/を表し、語頭でî,語中ではâが使われる。イとウの中間の音で唇は丸めない。ロシア語のыと同じ。
  • 言語の系統としては、ラテン語の子孫であるロマンス諸語の一員でイタリア語やフランス語、スペイン語等と姉妹関係にある。古代ローマ最盛期にローマ文化圏に取り込まれたためだが、その後ローマの衰退に従って周囲が次々に異民族に同化していき現在では「スラブの海に浮かぶラテンの島」と化している。
  • ロマンス諸語としての面目は維持しているもののスラブ語の影響は大きく、語彙や音声にスラブの特徴が見られる。
  • ロマンス諸語としては珍しくhを発音する。ただしこれは俗ラテン語がhを失ったはるか後に他の音声が変化して生じたもので、ラテン語から受け継いだ語彙のhは消えている。
  • 定冠詞を後置する。これは名詞と一体化して実質的に活用語尾となっている。
  • ロマンス諸語の多くが人称代名詞以外で失った格変化を辛うじて保っており、主対格と属与格の二形がそれぞれ単複にある。さらに上述の通り定冠詞が活用語尾と一体化しているため、一つの名詞が2格×(単数or複数)×(不定形or定形)の8通りに変化する。
  • 一部の母音はアクセントの有無で規則的に変化する。格変化でアクセントの位置が変化すると、それに合わせて母音も変化するため慣れないとかなり混乱する。例えばluceferilor(朝の星:属与格、複数、定形)の原形(主対格、単数、不定形)はluceafăr。