ヨーロッパ州/モルドヴァ国歌「我らの言語」 のバックアップ(No.1)
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- 1 (2021-06-03 (木) 22:13:00)
Limba noastră
我らの言葉
男性グループによる歌唱。1番、2番、1番と繰り返す。
合唱団によるもの。1,2,4,12という珍しいパターン
歌詞全文
| 1 Limba noastră-i o comoară În adâncuri înfundată Un şirag de piatră rară Pe moşie revărsată. 押韻:-/ă/ | 我らの言葉は宝物 深淵に封じられた宝物 祖国に広く散らばった 宝石で紡がれた鎖 |
| 2 Limba noastră-i foc ce arde Într-un neam, ce fără veste S-a trezit din somn de moarte Ca viteazul din poveste. 押韻:-/e/ | 我らの言葉は燃え盛る炎 物語の中から出てきた英雄のように 死のような眠りから突如目覚めた民族の その中で燃え盛る炎 |
| 5 Limba noastră-i frunză verde, Zbuciumul din codrii veşnici, Nistrul lin, ce-n valuri pierde Ai luceferilor sfeşnici. 押韻:-/erde/, -/eşnici/ | 我らの言葉は緑の葉 常緑の森から届くざわめき 朝の星の光を波間に飲み込む 穏やかなドニエストル川 |
| 8 Limba noastră-i limbă sfântă, Limba vechilor cazanii, Care o plâng şi care o cântă Pe la vatra lor ţăranii. 押韻:-/ântă/, -/anii/ | 我らの言葉は聖なる言葉 古き訓戒を伝える言葉 農夫たちが暖炉を囲み 嘆き、歌って伝える言葉 |
| 12 Răsări-va o comoară În adâncuri înfundată Un şirag de piatră rară Pe moşie revărsată. 押韻:-/ă/ | 宝物は湧き上がる 深淵に封じられた宝物は 祖国に広く散らばった 宝石で紡がれた鎖は |
歌詞逐語訳
1
| Limba | noastră-i | o | comoară |
| リンバ | ノアストルイ | オ | コモアル |
| 言語 | 我らの+~である | 不定冠詞 | 宝 |
| 我らの言葉は宝物 | |||
| În | adâncuri | înfundată |
| イン | アドィンクリ | インフンダーテ |
| ~の中 | 深淵 | 詰まった |
| 深淵に封じられた | ||
| Un | şirag | de | piatră | rară |
| ウン | シラグ | デ | ピァトル | ラール |
| 不定冠詞 | 鎖 | ~の | 石 | 希少な |
| 宝石でできた鎖 | ||||
| Pe | moşie | revărsată. |
| ペ | モシエ | レヴルサーテ |
| ~に | 祖国 | 散らばった |
| 祖国に広く散らばった | ||
2
| Limba | noastră-i | foc | ce | arde |
| リンバ | ノアストルイ | フォク | チェ | アルデ |
| 言葉 | 我らの+~である | 炎 | 関係代名詞 | 燃える |
| 我らの言葉は民族の中に燃え盛る炎 | ||||
| Într-un | neam, | ce | fără | veste |
| イントルン | ネアム | チェ | フル | ヴェステ |
| ~の中+不定冠詞 | 人々 | 関係代名詞 | ~無く | 知らせ |
| 彼らは突然に | ||||
| S-a | trezit | din | somn | de | moarte |
| サ | トレーズィト | ディン | ソムン | デ | モアルテ |
| 自身を+完了助動詞 | 起こした | ~から | 眠り | ~の | 死 |
| 死のような眠りから目覚めた | |||||
| Ca | viteazul | din | poveste. |
| カ | ヴィテアズル | ディン | ポヴェステ |
| ~のように | 英雄 | ~から | 物語 |
| 物語から出てきた英雄のように | |||
5
| Limba | noastră-i | frunză | verde, |
| リンバ | ノアストルイ | フルンズ | ヴェルデ |
| 言葉 | 我らの+~である | 葉 | 緑の |
| 我らの言葉は緑の葉 | |||
| Zbuciumul | din | codrii | veşnici, |
| ズブチュムル | ディン | コドリ | ヴェシュニチ |
| ざわめき | ~から | 森 | 永遠の |
| 不滅の森のざわめき | |||
| Nistrul | lin, | ce-n | valuri | pierde |
| ニストルル | リン | チェン | ヴァルリ | ピェルデ |
| ドニエストル川 | 穏やかな | 関係代名詞+~の中 | 波 | 失う |
| 波の中に | ||||
| Ai | luceferilor | sfeşnici. |
| アイ | ルチェフェリロル | スフェシュニチ |
| 定冠詞 | 朝の星々の | 燭台 |
| 朝の星々の光を消す穏やかなドニエストル | ||
8
| Limba | noastra-i | limbă | sfântă, |
| リンバ | ノアストルイ | リンバ | スフンテ |
| 言葉 | 我らの+~である | 言葉 | 聖なる |
| 我らの言葉は聖なる言葉 | |||
| Limba | vechilor | cazanii, |
| リンバ | ヴェキロル | カザーニ |
| 言葉 | 古い | 訓戒の |
| 古き訓戒を伝える言葉 | ||
| Care | o | plâng | şi | care | o | cântă |
| カーレ | オ | プルィング | シ | カーレ | オ | クィンテ |
| 関係代名詞 | ~を | 嘆く | そして | 関係代名詞 | ~を | 歌う |
| その言葉で嘆き、歌う | ||||||
| Pe | la | vatra | lor | ţăranii. |
| ペ | ラ | ヴァトラ | ロル | ツラーニ |
| ~の所で | 暖炉 | 彼らの | 農夫たち | |
| 農夫たちが暖炉を囲んで | ||||
12
| Răsări-va | o | comoară |
| ルスリヴァ | オ | コモアル |
| 上がる+未来助動詞 | 不定冠詞 | 宝 |
| 宝物は湧き上がる | ||
| În | adâncuri | înfundată, |
| イン | アドィンクリ | インフンダーテ |
| ~の中 | 深淵 | 詰まった |
| 深淵に封じられた宝物は | ||
| Un | şirag | de | piatră | rară |
| ウン | シラグ | デ | ピァトル | ラール |
| 不定冠詞 | 鎖 | ~の | 石 | 希少な |
| 宝石でてきた鎖 | ||||
| Pe | moşie | revărsată. |
| ペ | モシエ | レヴルサーテ |
| ~に | 祖国 | 散らばった |
| 祖国に広く散らばった | ||
特記事項
- 詩としては全五節だが、曲は二種類の旋律が交互に使われA-B-A-B-Aという進行になっている。
- 1991年にソ連から独立してから暫くはルーマニアと同じ「目覚めよ、ルーマニア人!」が国歌であったが1994年にこの国歌に変更された。モルドヴァの中心民族はルーマニア系であり、歴史、民族、言語とも通底している。
- モルドヴァの公用語の名前は微妙な状態にあり、憲法では「モルドヴァ語」とされている一方で憲法裁判所はこれを否定して「ルーマニア語」であると判断している。これはあくまで言語の名称の問題であり、公に使われている言語の実態は変わらない。以下はルーマニアのページに記されているものと同様。
- 語末が子音+iの時は、アクセントが-iに無い限り子音が口蓋化(スラブ語の軟音化、日本語の拗音化に近い)され-i自体は発音されない。
- ăは英語の無強勢母音に現れる/ə/の音。
- î, âはどちらも同じ音/ɨ/を表し、語頭でî,語中ではâが使われる。イとウの中間の音で唇は丸めない。ロシア語のыと同じ。
- 言語の系統としては、ラテン語の子孫であるロマンス諸語の一員でイタリア語やフランス語、スペイン語等と姉妹関係にある。古代ローマ最盛期にローマ文化圏に取り込まれたためだが、その後ローマの衰退に従って周囲が次々に異民族に同化していき現在では「スラブの海に浮かぶラテンの島」と化している。
- ロマンス諸語としての面目は維持しているもののスラブ語の影響は大きく、語彙や音声にスラブの特徴が見られる。
- ロマンス諸語としては珍しくhを発音する。ただしこれは俗ラテン語がhを失ったはるか後に他の音声が変化して生じたもので、ラテン語から受け継いだ語彙のhは消えている。
- 定冠詞を後置する。これは名詞と一体化して実質的に活用語尾となっている。
- ロマンス諸語の多くが人称代名詞以外で失った格変化を辛うじて保っており、主対格と属与格の二形がそれぞれ単複にある。さらに上述の通り定冠詞が活用語尾と一体化しているため、一つの名詞が2格×(単数or複数)×(不定形or定形)の8通りに変化する。
- 一部の母音はアクセントの有無で規則的に変化する。格変化でアクセントの位置が変化すると、それに合わせて母音も変化するため慣れないとかなり混乱する。例えばluceferilor(朝の星:属与格、複数、定形)の原形(主対格、単数、不定形)はluceafăr。