表示案C
Wed, 19 Jul 2023 23:20:02 JST (854d)
Top > 表示案C
Մեր Հայրենիք
Mer Hayrenik
我が祖国
アルメニアの著名人が歌う国歌アレンジ。
歌詞全文
| Մեր Հայրենիք ազատ անկախ, Որ ապրել է դարեդար Յուր որդիքը արդ կանչում են Ազատ, անկախ Հայաստան։ | Mer Hajrenik' azat ankax Vor aprel e daredar Jur vordik'ə ard kanch'um en Azat, ankax Hajastan. |
| Ահա եղբայր քեզ մի դրոշ, Որ իմ ձեռքով գործեցի Գիշերները ես քուն չեղայ, Արտասուքով լվացի։ | Aha jeghbajr k'ez mi drosh Vor im dzeřk'ov gortsets'i Gishernerə jes k'un ch'eghaj, Artasuk'ov lvats'i. |
| Նայիր նրան՝ երեք գոյնով, Նուիրական մեր նշան Թող փողփողի թշնամու դեմ Թող միշտ պանծայ Հայաստան։ | Najir nran jerek' gujnov, Nvirakan mer nshan T'ogh p'oghp'oghi t'shnamu dem T'ogh misht pantsa Hajastan. |
| Ամենայն տեղ մահը մի է Մարդ մի անգամ պիտ մեռնի, Բայց երանի՝ որ յուրր ազգի Ազատության կը զոհվի։ | Amenajn tegh mahə mi e Mard mi angam pit meřni, Bajch' jerani, vor jur azgi Azatut'jan kə zohvi. |
| 幾世紀も永らえし 自由な独立した我らの祖国 今、祖国はその子らを呼ぶ、 アルメニアの自由と独立のために! 兄弟よ、これがお前のための旗、 我が手にて織り いくつもの眠れぬ夜に この涙で染めた旗だその三色の旗を見よ、 我らの尊き象徴を 敵に向けてこの旗を輝かせよう、 アルメニアよ、常に誇り高くあろう 死はあらゆる場所にあり 誰にでも一度は訪れる だが、祖国の自由のために 散りゆく者には祝福あれ! |
歌詞逐語訳
| Մեր | Հայրենիք, | ազատ | անկախ, |
| Mer | hajrenik' | azat | ankax*1 |
| メル | ハイレニク | アザタンカフ | |
| 我らの | 祖国 | 自由な | 独立した |
| 自由な独立した我らの祖国 | |||
| Ազատ, | անկախ | Հայաստան։ |
| Azat | ankax | Hayastan |
| アザタンカフ | ハヤスタン | |
| 自由な | 独立した | アルメニア*8 |
| 自由な独立したアルメニア! | ||
| Գիշերները | ես | քուն | չեղայ, |
| Gishernerə | jes | k'un | ch'eghaj |
| ギシェルネラ | イェス | クン | チェガイ |
| 夜(複数、定冠詞) | 私 | 眠り | なかった |
| 眠れぬ幾つもの夜を越え | |||
| Արտասուքով | լվացի։ |
| Artasuk'ov | lvats'i |
| アルタスーコヴ | ルヴァツィ*13 |
| 涙で | 洗った、染めた |
| 涙で染めた旗 | |
| Նայիր | նրան՝ | երեք | գոյնով, |
| Najir | nəran | jerek' | gojnov |
| ナイル | ナラン | イェレク | ゴイノヴ |
| 見ろ | それを | 三つの | 色で |
| 三色のその旗を見よ*14 | |||
| Նուիրական | մեր | նշան |
| Nuvirakan*15 | mer | nshan |
| ナヴィラカン | メル | ナシャン |
| 神聖な、価値ある | 我らの | 印、象徴 |
| 尊き我らの象徴 | ||
| Թող | փողփողի | թշնամու | դեմ |
| T'ogh | p'oghp'oghi | t'shnamu | dem |
| トフ | ポフポギ | タシュナムー | デム |
| ~させよ | 輝く | 敵に | 対して、向かって |
| 敵に向かってこれを輝かせよう | |||
| Թող | միշտ | պանծա | Հայաստան։ |
| T'ogh | misht | pantsa | Hayastan |
| トフ | ミシト | パンツァ | ハヤスタン |
| ~させよ | 常に | 誇り高くある | アルメニア |
| アルメニアよ、常に誇り高くあろう | |||
| Ամենայն | տեղ | մահը | մի | է |
| Amenajn | tegh | mahə | mi | e |
| アメナイン | テフ | マハ | ミ | エ |
| 全ての | 場所 | 死+定冠詞 | 確かな*16 | ある |
| 全ての場所に死はある | ||||
| Մարդ | մի | անգամ | պիտ | մեռնի, |
| Mard | mi | angam | pit | meřni*17 |
| マルド | ミ | アンガム | ピト | メルニ |
| 人間 | ひとつの | 回 | ~べき | 死ぬ |
| 人は誰しも一度は死なねばならない | ||||
| Բայց | երանի՝ | որ | յուր*18 | ազգի |
| Bajts' | jerani | vor | jur | azgi |
| バイツ | イェラニ | ヴォル | ユラズギ | |
| しかし | 祝福あれ | 関係代名詞 | 彼の | 国の |
| だが祝福あれ、自らの国の | ||||
| Ազատության | կը | զոհվի։ |
| Azatut'jan | kə | zohvi |
| アザトゥチャン | カ | ゾフヴィ |
| 自由のために | (条件法未来時制) | (戦で)死ぬ |
| 自由のために散るであろう者に! | ||
特記事項
- 3年という短命に終わった「アルメニア第一共和国」の国歌として制定された曲。原詩は「イタリアの娘の歌」という題で、現行の国歌としての歌詞と比較すると冒頭の「我が祖国、自由な、独立した」の部分は「我が祖国、不運な、見捨てられた…」と嘆いている。「アルメニアよ永遠に誇らしく…」のくだりも「オーストリアを滅ぼさんことを!」と勇ましく名指しである。
- オーストリアに反旗を翻したイタリアを「勇敢な姉妹」として、イタリアが兄弟たるアルメニアに三色旗を手渡して「あなたも頑張って」と勇気づける…というもの。
- その後、ソ連時代は別の国歌を使用していたのだが…そちらはなんとアルメニアを代表する世界的作曲家・ハチャトゥリアンの作曲。名前でピンとこなくとも、「剣の舞」は知っている人も多いはず。
- 仮にもインド・ヨーロッパ語族の一員なので、du「おまえ」とか、max 「死」*19とかlval, lvanal 「洗う、すすぐ」*20…見覚えのある語彙が見え隠れする。
- 一方でペルシア語の語彙も多い。「敵」を意味する t'shnam は似たような単語が各地に duşmani とか душман とか借用されてますね。*21
- 破裂音(p, t, k)と破擦音(ts, ch)には「有気/無気」の区別がある。本稿の表記では p / p' のように有気音にアポストロフィをつけている。
中国語や韓国語でお馴染みの概念なのでご存知のかたは少なくないかもしれない。 - r も ր /ɹ/ と ռ /r/ の二種類あり、前者は英語のrのような音、後者はいわゆる「巻き舌」のrである。本稿では巻き舌のほうに 「ř」というふうに記号をつけている。あまりメジャーな表記法ではないかも。なお出現頻度は圧倒的に巻き舌が少ない。
- 上記で ղ (ラテン文字では gh )とされている音は、フランス語のrに近い /ʁ/ の音。うがいのような音、といわれるもの。
- ու は二文字で「ウ」。
- ե は語頭で「イェ」、それ以外で「エ」。「~である」という基本的な動詞で頻出するのでわりと「イェ」も出てくる。「私」も「イェス」だし。
- ո も語頭で「ヴォ」、それ以外で「オ」。関係代名詞で使うからか、これも割と目にする。
&tag(インド・ヨーロッパ語族)
*1 kahemが「従属した」
*2 英語でいうbe動詞にあたる e を伴うと完了形となる
*3 դար dar が「世紀、時代」。
*4 この単語では t' 相当で発音する
*5 やや古風。現代では ինքը [ink'ə]を用いる
*6 古めの用例では複数で -ք (-k') がついている例が散見される。-ը(-ə)は定冠詞…だが、母音始まりの語の前では-nのはずだが。追って調べます。
*7 複数なのは Հայրենիք hajrenik'「祖国」が語源的にhajreni「父の(地)」の複数のため。
*8 アルメニア民族の自称は Hay 「アルメニア人」、国名は -astan「~の土地」をつけて Hayastan となる。Japanと日本のような関係。
*9 古くは դրօշ
*10 dとrの間には曖昧な母音を挟む
*11 -ovが具格語尾
*12 わざわざ辞書に独立して「作った、為した」のほかに「織った」が出ているんですよ…
*13 lとvの間にも母音が入る。[ə]に近いものがそれとなく入る。
*14 アルメニアの国旗は三色旗である
*15 辞書には nvirakan の語形で載っている。通例、子音連続の間には母音が挿入されるので実際の発音はnuvirakanだが、挿入母音も書くようになったのかも
*16 certain, one, some などと訳される。「ひとつの」と訳しうることもあるが、複数でも使えるので…
*17 この ռ は巻き舌の[r]の文字
*18 やや古風
*19 古語では marx だったらしい。こっちだとわかりやすいかも?
*20 ラテン語 lavō, 英語 lavatory など…
*21 ペルシア系の語彙が多すぎて「ペルシア語と同系なのでは?」って過去けっこう論じられてた言語なだけある