ヨーロッパ州/ルーマニア国歌「目覚めよ、ルーマニア人」 のバックアップ(No.1)
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- ヨーロッパ州/ルーマニア国歌「目覚めよ、ルーマニア人」 へ行く。
- 1 (2021-02-14 (日) 16:46:25)
- 2 (2023-04-16 (日) 00:11:21)
Deșteaptă-te, române!
目覚めよルーマニア人!
歌詞全文
1 Deşteaptă-te, române, din somnul cel de moarte, În care te-adânciră barbarii de tirani! Acum ori niciodată, croieşte-ţi altă soarte, La care să se-nchine şi cruzii tăi duşmani. 押韻:-/e/, -/ani/ | 目覚めよルーマニア人、死のような眠りから 暴君の蛮行に沈められた眠りから 今こそ新たな運命を切り開く時 残酷なる敵さえひれ伏すような運命を |
2 Acum ori niciodată să dăm dovezi la lume Că-n aste mâni mai curge un sânge de roman, Şi că-n a noastre piepturi păstrăm cu fală-un nume Triumfător în lupte, un nume de Traian! 押韻:-/ume/, -/an/ | 今こそ世界に示すのだ この手に尚ローマ人の血が流れていることを そして我らの胸に誇りと共に一つの名を留めていることを 戦いの勝者トラヤヌスの名を |
3 Priviţi, măreţe umbre, Mihai, Ştefan, Corvine, Româna naţiune, ai voştri strănepoţi, Cu braţele armate, cu focul vostru-n vine, "Viaţa-n libertate ori moarte!" strigă toţi. 押韻:-/vine/, -/oţi/ | 見よ偉大な影を、ミハイ、シュテファン、コルヴィンよ ルーマニアの国を、お前たちの子孫を 腕には武器を持ち、お前たちの炎を血潮と巡らせ 「自由な生か、さもなくば死か!」と皆が叫ぶのを |
4 Preoţi, cu crucea-n frunte căci oastea e creştină, Deviza-i libertate şi scopul ei preasfânt. Murim mai bine-n luptă, cu glorie deplină, Decât să fim sclavi iarăşi în vechiul nost'pământ! 押韻:-/ină/, -/ânt/ | 司祭たちよ十字架と共に進め!この軍はキリスト教徒なのだから 標語は自由、その目的は何よりも神聖である 我らは傷の無い栄光を抱き戦いの中で死のう 我らの古き地で再び奴隷になるくらいならば! |
歌詞逐語訳
1
Deșteaptă-te, | române, | din | somnul | cel | de | moarte, |
デシュテアプタテ | ロムィーネ | ディン | ソムヌル | チェル | デ | モアルテ |
起こせ+お前を | ルーマニア人 | ~から | 眠り | その | ~の | 死 |
目覚めよルーマニア人、死のような眠りから |
În | care | te-adânciră | barbarii | de | tirani! |
イン | カーレ | テアダィンチール | バルバーリ | デ | ティラーニ |
~の中 | 関係代名詞 | お前を+沈めた | 蛮行 | ~の | 暴君 |
暴君の蛮行がお前を沈めたその眠りから |
Acum | ori | niciodată | croiește-ți | altă | soartă, |
アクム | オリ | ニチョダーテ | クロイェーシュテツィ | アルテ | ソアールテ |
今 | あるいは | 永遠にない | 切り開け+お前に | 他の | 運命 |
今こそ自らの手で新たな運命を切り開け |
La | care | să | se-nchine | și | cruzii | tăi | dușmani! |
ラ | カーレ | ス | センキーネ | シ | クルーズィ | テイ | ドゥシュマーニ |
~に | 関係代名詞 | ~するような | 平伏す | ~も | 残酷な | お前の | 敵 |
残酷な敵さえ平伏すような運命を |
2
Acum | ori | niciodată | să | dăm | dovezi | la | lume |
アクム | オリ | ニチョダーテ | ス | デーム | ドヴェーズィ | ラ | ルーメ |
今 | あるいは | 永遠にない | 与えよう | 証 | ~に | 世界 | |
今こそ世界に証明しよう |
Că-n | aste | mâni | mai | curge | un | sânge | de | roman, |
クン | アステ | ムィーニ | マーイ | クルジェ | ウン | スィンジェ | デ | ロマーン |
~ということ+~の中 | この | 手 | なお | 流れる | 不定冠詞 | 血 | ~の | ローマ人 |
この手になおローマ人の血が流れていることを |
Și | că-n | a | noastre | piepturi | păstrăm | cu | fală-un | nume |
シ | クン | ア | ノアストレ | ピェプトゥリ | プストルム | ク | ファールウン | ヌーメ |
そして | ~ということ+~の中 | 定冠詞 | 我らの | 胸 | 我らは保つ | ~と共に | 誇りー不定冠詞 | 名前 |
そして我らの胸の内に、誇りと共に一つの名前を抱き続けてきたことを |
Triumfător | în | lupte, | un | nume | de | Traian! |
トリウムフトール | イン | ルプテ | ウン | ヌーメ | デ | トライアン |
勝者 | ~の中 | 戦い | 不定冠詞 | 名前 | ~の | トラヤヌス |
戦争の勝者、トラヤヌス*1の名を |
3
Priviți, | mărețe | umbre, | Mihai, | Ștefan, | Corvine, |
プリヴィーツィ | ムレーツェ | ウンブレ | ミハイ | シュテファン | コルヴィーネ*2 |
見よ | 偉大な | 影 | ミハイ勇敢公*3 | シュテファン大公*4 | ハンガリー王コルヴィン*5 |
見よ偉大なる影を、ミハイ、シュテファン、コルヴィンよ*6 |
Româna | națiune, | ai | voștri | strănepoți, |
ロムィーナ | ナツィウーネ | アイ | ヴォシュトリ | ストルネポーツィ |
ルーマニアの | 国 | 定冠詞 | お前たちの | 子孫 |
ルーマニアの国を、お前たちの子孫を |
Cu | brațele | armate, | cu | focul | vostru-n | vine, |
ク | ブラーツェレ | アルマーテ | ク | フォークル | ヴォストルン | ヴィーネ |
~と | 腕 | 武装した | ~と | 炎 | お前たちのー~の中 | 血管 |
腕には武器を持ち、お前たちの炎を血潮と巡らせ |
"Viața-n | libertate | ori | moarte!" | strigă | toți. |
ヴィアーツァン | リベルターテ | オリ | モアルテ | ストリーグ | トーツィ |
生ー~の中 | 自由 | 或いは | 死 | 彼らは叫ぶ | 皆 |
「自由な生か、さもなくば死か!」と皆が叫ぶ |
4
Preoți, | cu | crucea-n | frunte! | căci | oastea | e | creștină, |
プレオーツィ | ク | クルーチェアン | フルンテ | クチ | オアステア | エ | クレシュティーヌ |
司祭たち | ~共に | 十字架+~に | 前 | なぜなら | 軍 | ~である | キリスト教徒 |
司祭たちよ、十字架と共に進め!この軍はキリスト教徒なのだから |
Deviza-i | libertate | și | scopul | ei | preasfânt, |
デヴィーザイ | リベルターテ | シ | スコープル | エイ | プレアスフィント |
標語ー~である | 自由 | そして | 目的 | その | 極めて神聖な |
標語は自由、その目的は何よりも神聖である |
Murim | mai | bine-n | luptă, | cu | glorie | deplină, |
ムーリム | マーイ | ビーネン | ルプテ | ク | グローリエ | デプリーヌ |
我らは死ぬ | より | 良くー~の中 | 戦い | ~と共に | 栄光 | 十全な |
我らは欠けの無い栄光を抱いて戦いの中で死ぬことを選ぶ |
Decât | să | fim | sclavi | iarăși | în | vechiul | nost’ | pământ! |
デクィート | ス | フィム | スクラーヴィ | ヤールシ | イン | ヴェキウル | ノスト | プムィント |
よりも | 我らは~である | 奴隷 | 再び | ~に | 古い | 我らの | 地 | |
我らの古き地で再び奴隷になるよりは! |
特記事項
- 1848年発表。制定は1989年。現在のルーマニアに限らずルーマニア民族全体で歌われた歌であり、一次戦期に短期間存在したモルダヴィア民主共和国やソ連脱退直後のモルドバでも歌われていた。しかしモルドバは1994年に独自の国歌「我らの言葉」を制定し、この歌は国歌の地位から降ろされた。
- 元の詩は11節あるが、このうちの1, 2, 4, 11節がそれぞれ国歌の1~4番に相当する。1→3→2という順番で歌われることもある。
- 語末が子音+iの時は、アクセントが-iに無い限り子音が口蓋化(スラブ語の軟音化、日本語の拗音化に近い)され-i自体は発音されない。
- ăは英語の無強勢母音に現れる/ə/の音。
- î, âはどちらも同じ音/ɨ/を表し、語頭でî,語中ではâが使われる。イとウの中間の音で唇は丸めない。ロシア語のыと同じ。
- 言語の系統としては、ラテン語の子孫であるロマンス諸語の一員でイタリア語やフランス語、スペイン語等と姉妹関係にある。古代ローマ最盛期にローマ文化圏に取り込まれたためだが、その後ローマの衰退に従って周囲が次々に異民族に同化していき現在では「スラブの海に浮かぶラテンの島」と化している。
- ロマンス諸語としての面目は維持しているもののスラブ語の影響は大きく、語彙や音声にスラブの特徴が見られる。
- ロマンス諸語としては珍しくhを発音する。ただしこれは俗ラテン語がhを失ったはるか後に他の音声が変化して生じたもので、ラテン語から受け継いだ語彙のhは消えている。
- 定冠詞を後置する。これは名詞と一体化して実質的に活用語尾となっている。
- ロマンス諸語の多くが人称代名詞以外で失った格変化を辛うじて保っており、主対格と属与格の二形がそれぞれ単複にある。さらに上述の通り定冠詞が活用語尾と一体化しているため、一つの名詞が2格×(単数or複数)×(不定形or定形)の8通りに変化する。
- 一部の母音はアクセントの有無で規則的に変化する。格変化でアクセントの位置が変化すると、それに合わせて母音も変化するため慣れないとかなり混乱する。例えばluceferilor(朝の星:属与格、複数、定形)の原形(主対格、単数、不定形)はluceafăr。
*1 ローマ五賢帝の二人目。現在のルーマニアに当たるダキアを平定しローマの属州とした。
*2 コルヴィンCorvinの呼格。呼び掛けの時に用いる格変化で、古代語にはよく見られるものの現代まで残しているルーマニア語は珍しいタイプ。
*3 ワラキア公。カルガレニの戦いでオスマン帝国を破った。
*4 モルダヴィア公シュテファン三世。ヴァスルイの戦いでオスマン帝国を破った。
*5 ハンガリー王マティア・コルヴィン。ハンガリー語名フニャディ・マーチャーシュ。オスマン帝国に対抗した。
*6 ルーマニアは長く南のワラキア、西のトランシルバニア、北東のモルダヴィアに分かれていた。さらにトランシルバニアはハンガリー王国に含まれており、ここではそれぞれの地域でオスマン帝国の支配に抗った英雄が挙げられている。なおシュテファンとコルヴィンは同時代の人物だがミハイは彼らより100年近く後の人物である。