雑記/複数の言語で歌われる国歌

Mon, 05 May 2025 21:41:57 JST (75d)
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一国一言語とは限らない

 

日本の国歌は日本語。モンゴルの国歌はモンゴル語。

タイの国歌はタイ語。シンプルでいいですね。

しかし大抵の場合、そう簡単にはいきません(これらの例も出すのにちょっと考え込んだ)。

 

ドイツ語で国歌を歌う国は5つありますし、英語やフランス語、アラビア語の国はもっと多い。

逆に、一つの国歌でも複数の言語版があることもあります。

それら複数の言語版が政府の公認で、かならず複数の言語で歌うことになっている国もあれば、

公認はしているけれど滅多に他言語版が歌われない国、

複数の言語を混ぜて歌うのが常の国、

非公認だけど国民に他言語版のほうがむしろ愛されている国…。

複数言語の度合いも様々です。

 

当Wikiでは、実態を踏まえて以下に挙げる10の国歌を「複数言語で歌うもの」とします。

 
a)通例、複数言語を
混ぜて歌うもの
スリナム(1番オランダ語、2番スラナン語)
ニュージーランド(1番マオリ語、2番英語)
南アフリカ(5つの言語で順に歌う)
b)複数言語版が
独立してあるもの
カナダ(英・仏)
カメルーン(英・仏)
ジンバブエ(ショナ・北ンデベレ・英・トリリンガル版)
スイス(独・仏・伊・ロマンシュ)
スリランカ(シンハラ・タミル)
フィンランド(フィンランド・スウェーデン)
ベルギー(蘭・仏・独・トリリンガル版)

a) 通例、複数言語を混ぜて歌うもの

 

スリナム国歌「神よ我らのスリナムと共に在れ」

 

1番 - God zij met ons Suriname (オランダ語:神よ我らのスリナムと共に在れ)

2番 - Opo kondreman (スラナン語:起て同胞よ)

 

南アフリカ大陸で唯一のオランダ語圏、スリナム。

この国の国歌は1番にあたる前半部分はオランダ語だが、残りは現地のクレオール語「スラナン語」で歌われる。オランダ語をベースに各地からの移民の言語などが混成した言語。Srananはスリナムのこと。

内容はオランダ語部分とスラナン語部分で同一ではない。歴史的には反オランダ感情からオランダ語パートを歌われないこともあったらしい。

 

ニュージーランド国歌「神よニュージーランドを守り給え / アオテアロア」

1番 - Aotearoa (マオリ語:アオテアロア)

2番 - God Defend New Zealand (神よニュージーランドを守り給え)

南アフリカ国歌「神よアフリカを祝福せよ / 南アフリカの呼び声」

第1-2節 Nkosi Sikelel' iAfrika (コサ語、ズールー語、ソト語)

第3-4節 Die Stem van Suid-Afrika (アフリカーンス語、英語)

 

b) 複数言語版が独立してあるもの

カナダ国歌「オー・カナダ」

Ô Canada (フランス語版)

O Canada (英語版)

カメルーン国歌「カメルーン、我らの父祖の揺り籠よ」

Ô Cameroun berceau de nos ancêtres (フランス語:カメルーン、我らの父祖の揺り籠よ)

O Cameroon, Cradle of our Forefathers (英語:カメルーン、我らの父祖の揺り籠よ)

スイス国歌「スイスの賛歌」

Schweizerpsalm (ドイツ語)

Cantique Suisse (フランス語)

Salmo Svizzero (イタリア語)

Psalm Svizzer (ロマンシュ語)

スリランカ国歌「母なるスリランカ」

ශ්‍රී ලංකා මාතා / śrī laṁkā mātā (シンハラ語:母なるスリランカ)

ஸ்ரீ லங்கா தாயே / srī laṅkā tāyē (タミル語:母なるスリランカ)

フィンランド国歌「我らの地」

Maamme (フィンランド語:我らの地)

Vårt land (スウェーデン語:我らの地)

ベルギー国歌「ブラバンソンヌ」

 

La Brabançonne (フランス語:ブラバンソンヌ)

Das Lied von Brabant (ドイツ語:ブラバントの歌)

De Brabançonne (オランダ語:ブラバンソンヌ)

 

ジンバブエ国歌「ジンバブエの旗を高く掲げよ」

 

Simudzai Mureza weZimbabwe(ショナ語:ジンバブエの旗を高く掲げよ)

Kalibusiswe Ilizwe leZimbabwe(北ンデベレ語:ジンバブエの地に祝福あれ)

Blessed Be the Land of Zimbabwe(英語:ジンバブエの地に祝福あれ)

多民族国家のジンバブエには16の公用語があり、最大多数のショナ語とそれに次ぐ北ンデベレ語*1、加えて英語の3言語版が存在する。

 

トリリンガル版も存在するが厳格な決まりはなく、ショナ語話者の多い地域ではすべてショナ語であったり、逆に全編北ンデベレ語というケースも少ないがみられる。なおンデベレ語で1番を歌うとクリック音が必須。

 

なお憲法には16言語すべての訳詞が掲載されているが、上記3言語以外のものはほぼ歌われないらしくネット上に演奏動画は見つからない。





*1 南ンデベレ語はジンバブエ国内ではなく南アフリカに分布